「次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。 第1号成年被後見人」
……これは、改正前の公職選挙法第11条第1項第1号。読んだ通り、成年後見人制度を利用している人(=被後見人)に選挙権はありませんということなのです。にわかに信じることが出来ませんでした。私を含めて、この法律を知るきっかけになったのがこの事件についての報道だったという人は結構いました。
「名兒耶匠さんという知的障害がある女性が、47歳のとき、父親の計らいにより父親を成年後見人にした。しかし被後見人になったとたん、投票所入場券が届かなくなった。それまで選挙に欠かさず行っていた匠さんが、これが成年後見人制度を利用したことによるものだと知り、自ら「選挙に行けなくなるような制度ならいらない」と訴え、これを聞いてはじめて父親が「この法律は違憲ではないか」と気づいた。
2011年2月に、匠さんは国を相手取り違憲訴訟を起こす。翌々年3月「違憲である」という訴えは認められ「選挙権は行使しうる」という判決を得た。この判決とその時の裁判長が匠さんにかけた「どうぞ選挙権を行使して社会に参加して下さい。堂々と胸を張っていい人生を生きて下さい」という言葉に、沢山の人が胸を撫で下ろした。この直後5月には異例のスピードで公職選挙法の改正が成立し、7月はじめの公示に間に合い約13万6000人の選挙権行使が回復しての選挙となった」。
成年後見人制度が始まったのは2000年ですから15年近くもこの誰が見てもおかしい権利剥奪が見過ごされて来たことになります。
世間一般の圧倒的な支持を得てのこの法改正にも関わらず、政府はこの判決に控訴しています。「選挙権の行使の条件としてある程度の理解力が必要だ。そうでないと他人に悪用されてしまうおそれもある。調査をおこなう必要のある人の抽出や、また必要な理解力を測る方法を検討するのは非常に困難なので、被後見人だという条件を基準として利用することは妥当だ」というのが、国の言いぶんのようですが、これもとんでもないことですよね。
成年後見は介助制度と目的を同じにしているはずです。自律のもと生きるための必要な援助です。合理的配慮です。移動が困難な人が選挙に行くために介助者を得るのと同じなんですから。
2011年2月に、匠さんは国を相手取り違憲訴訟を起こす。翌々年3月「違憲である」という訴えは認められ「選挙権は行使しうる」という判決を得た。この判決とその時の裁判長が匠さんにかけた「どうぞ選挙権を行使して社会に参加して下さい。堂々と胸を張っていい人生を生きて下さい」という言葉に、沢山の人が胸を撫で下ろした。この直後5月には異例のスピードで公職選挙法の改正が成立し、7月はじめの公示に間に合い約13万6000人の選挙権行使が回復しての選挙となった」。
成年後見人制度が始まったのは2000年ですから15年近くもこの誰が見てもおかしい権利剥奪が見過ごされて来たことになります。
世間一般の圧倒的な支持を得てのこの法改正にも関わらず、政府はこの判決に控訴しています。「選挙権の行使の条件としてある程度の理解力が必要だ。そうでないと他人に悪用されてしまうおそれもある。調査をおこなう必要のある人の抽出や、また必要な理解力を測る方法を検討するのは非常に困難なので、被後見人だという条件を基準として利用することは妥当だ」というのが、国の言いぶんのようですが、これもとんでもないことですよね。
成年後見は介助制度と目的を同じにしているはずです。自律のもと生きるための必要な援助です。合理的配慮です。移動が困難な人が選挙に行くために介助者を得るのと同じなんですから。
※人権情報誌「TOKYO人権第62号」が名兒耶さん親子にインタビューした記事が、とても素晴らしいので紹介します。下記のURLに掲載されています。↓
東京都人権啓発センターホームページ》娘をもう一度主権者に 成年被後見人の選挙権回復から1年を迎えてhttp://www.tokyo-jinken.or.jp/jyoho/62/jyoho62_interview.htm
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