p.36 11.バリアフリー

 障害のある人・高齢の方などに対応するための建物の改修はバリアフリー、新築ならユニバーサルデザイン。この捉え方でこの言葉が用いられる場合がこの国では多いように思います。また、障害のある人・高齢の方などに配慮された環境づくりをバリアフリー、それに限らず、どのような人にとっても使い勝手のよい環境づくりをユニバーサルデザインというのだ、という説もありますが、どちらも正確ではないようです。

 バリアフリーという言葉が最初に用いられたのは、昭和491974)年、国連の障害者環境専門家会議の報告書「Barrier Free Design」を発表です。このレポートでは、それまでの建築物の設計基準が、標準的な身長や運動能力を持った架空の人(ミスター・アベレージ=男の人のみ!)を想定しそれに基づいて設定されて来たことが改めて指摘され、それゆえ想定外(障害があったり、子どもだったり、女の人だったり!)の人にとって使いづらいものであることの問題について書かれています。このレポートは、その後「国連障害者の10昭和58(1983)年〜平成5(1993)年の間に各国の障害のある人に関連した施策に影響を与えました。

 この国では平成6(1994)年のハートビル法(高齢者・障害者が円滑に特定建築物の建築の促進に関する法律)成立がそれに当たるのだと思います。

 環境のバリアフリー(交通アクセシビリティ)に着眼したバリアフリー新法の出現までにはさらに12年かかりました。こちらはユニバーサルデザイン(p.185・脚注65参照)という考え方がもとになっています。

0 件のコメント:

コメントを投稿