p.203 76. 完全同性介助

 同性介助とは、女性が女性の、男性が男性の介助者を得ることを人権行使と考えて求める条件のことです。

 この国の公的介助保障制度以前、公務員が「家庭奉仕員」として障害のある人のところに派遣されていた時代、大きな問題点として「同性の介助を望む男性が多いが奉仕員はほとんど女性である」ということが挙っていました。
 最近は、介護施設で「移乗介助や風呂介助を女性ヘルパーが行うのは体力的に無理」という理由で「女性が同性の介助を求める場面でむしろ女性の介助を男性が行うことが認められている」ことに対して、当事者(または家族)の抗議の声が聞かれるようになっています。私も、このことが原因になった吐き気を催すような(暴言を含む)性暴力の証言を聴いたことがあります。

 一方で、必ずしも異性介助が暴力を産むわけではなく、それが縁となり人生の大切なパートナーや生涯の友人を得たという話も沢山知っています。

 私はハルにもトッキーにも同性介助を望みました。二人にも「異性介助はあり得ないと思う」と親として教えています。ハルが暴力の被害者になること、トッキーは加害者になる可能性を考えての結論ですが、短絡的で性差別的で被害妄想的かも知れない、とも思います。「この国の文化ではトイレが女性用・男性用と分かれているから」という説得力のない言い訳も用意しています。 

 ハルやトッキーの世代には、この事について安心して、もっと多様な文化の中の多様な人たちと想像力を全開にしながら論理的に俯瞰的に話し合い、感じる機会に恵まれてほしいと願っています。

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