p.53 21. パーソナルアシスタント

 日本語に訳せば「秘書」といった意味。

ITの世界では今「話しかけると回答をくれる)」Siri、Cortanaなどが「パーソナルアシスタント」と呼ばれて注目を浴びていますし、近年、秘書代行の事業所が「ビジネスの相談相手(コンセルジェ)」など業務を拡張し「パーソナルアシスタント業」と名乗り仕事を請け負っているようです。


 昭和51(1976)年、デンマークでは福祉全般についてフォローする「生活支援法」が制定されました。これを根拠にデンマーク筋ジストロフィー協会のエーバルト・クローさんらが、病院を出てノーマルな暮らしを実現すべく、オーフス市とヘルパー費用支給交渉をはじめました。これが、障害のあるひとの介助保障の方法としてこの言葉の初登場だと思います(介助者は「パーソナルヘルパー」と呼ばれていますが、これがスウェーデンなど北欧の国、さらにヨーロッパ中に広まって行く際「パーソナルアシスタント」という呼称が定着したようです)。

 この後、交渉と試行錯誤を積み重ねるうちに制度はどんどん磨かれて行き、ついに昭和62(1987)年には「生活支援法」に組み込まれ国全体の施策となりました。この年は、スウェーデンでSTILを発足したラツカさんが、試験的にパーソナルアシスタント制度をはじめた年でもあります。この試みをもとに平成6(1994)年に「支援サービス法(LSS法) 」と「アシスタント保障法(LASS) 」が施行されました。

 この「パーソナルヘルパー」制度は、クローさんらとともに制度を築き上げて来たオーフス市に敬意を評して「オーフス法」と呼ばれています。 
 「オーフス法」でもっとも注意が払われたのは「障害のある当事者が雇い主としての一切の権利と義務を負うことが大切。しかし金銭管理が不慣れだったり、労働者の権利についてうといかもしれない。そういう人でも誰でもトラブルなくやっていける方法にしなくてはいけない」ということだったようです。結果、
① 障害者が広告を出して面接して選ぶ。→② 雇用管理は障害者が行い、勤務簿を市に報告する。→③ 報告に基づき算定した給料をオーフス市が介助者の口座に支払う。……という方法が採られました。



 札幌市では、平成22(2010)年に、自治体独自の取り組みとしてパーソナルアシスタントを制度化しました。実際に利用しているわけではないのではっきりとしたことは言えませんが、ここにはゆるぎない理念を感じ、オーフスのように、今後、試行錯誤してよい制度に育つのではないかと希望が湧いてきます。

※PA制度を実践している札幌市のホームページはこちら↓
》パーソナルアシスタンス制度について

http://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/jiritsushien/1-4-1_pagaiyou.html

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