IEP(Individualized
Educational Plan)は、昭和50(1975)年米国で全障害児教育法の制定にともなって「個別のニーズや能力にあわせた適切な指導を行うため」実施され、その後平成2(1990)年になりその子どもたちが成人するころ、必要に応じる形で自立生活を計画するためのプログラムであるITP(Individualized Transition Plan)も盛り込まれるようになりました。要は、それまで目的や内容が曖昧だった「障害児教育」について原因は個別性にあるとして、一人一人に「授けるべきこと」を定めて計画的に勧めて行くことを「教育の保障」としたのです。
この国では、平成16(2004)年の「発達障害者支援法(p.98・脚注43参照)」施行にともなう「特別支援教育」登場の中で採用されました。
平成15(2003)年に特殊教育から特別支援教育へ転換するとした文部科学省が「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」の中で、多様なニーズに適切に対応する仕組みとして「個別の教育支援計画」として提案しています。平成16(2004)年の「小・中学校におけるLD(学習障害)、ADHD (注意欠 陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン」で定義された「個別の指導計画」は「児童生徒一人一人の障害の状態等に応じたきめ細かな指導が行えるよう、学校における教育課程や指導計画、当該児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえて、より具体的に児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法等を盛り込んだもの」です。
当初の対象者は「小・中学校におけるLD(学習障害)、ADHD (注意欠 陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒」でしたが、特殊教育学校(盲・ろう・養護学校)の名称もすべて特別支援学校に変更し、特別支援教育に転換するとしたことから、同じように全ての学校の障害のある生徒について一斉に採用されました。
かくして、そもそも「教科」も「教科書」も放棄し「障害をなくす・軽減するトレーニングセンター兼デイサービス」と化していた「重度重複障害児」のクラスでは「身体の機能回復」「排泄」「摂食」「コミュニケーション」などが「授かるべきもの」としてリストアップされ「スモールステップな目標」と根拠のない「そのための手立て」が書かれ、年度毎、ほぼ同じ内容の個別指導計画を示され、保護者はそれにサインして承認する、ということを繰り返す9年間(たいがいの人は12年間)が「保障」されるようになりました。
これ以前の事は知りませんが、少なくとも、例えば教員が気を効かせて「分かっているか分からないけど、トイレと食事と訓練のほかに何もしないよりは」と年齢相応な本を読んでくれたり、花の名前を教えてくれたりするチャンスは少ないけれどあったのではないかと想像しています。
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