ユニバーサルデザインを考案し提唱したのは、米国ノースカロライナ大学の建築家、ロン・メイスさんです。
メイスさんが米国基準協会の「建物・設備を身体障害のある人にアクセシブルで利用しやすいものにする仕様」の改定作業チームの主要メンバーだった1970年代は、既存の環境や建物の不自由さを障害のある人が指摘しては、それを解消するために改修・改造する「バリアフリー化」の対応を繰り返していました。これには多くの費用と日数がかかります。
自らがポリオで車いすユーザーだったメイスさんは、障害のある人を特別な少数の人として捉えているがために、そもそも「多くの人に不自由な環境や建物を造っては、特別な少数の人たちのために改修を行うという悪循環」や「特別な少数の人たちのためのものの多くは専用品でコストが高くデザインも醜悪である」という問題を日常生活で実感していました。
この気づきから「障害のある人を特別な少数の人と捉えて設計するのがおかしい。障害のある人のためにバリアフリーに設計してあるものは一般の人(障害のない人)にとっても使いやすいものだ。そういうデザインを提供すべきだ」と考えました。
メイスさんが米国基準協会の「建物・設備を身体障害のある人にアクセシブルで利用しやすいものにする仕様」の改定作業チームの主要メンバーだった1970年代は、既存の環境や建物の不自由さを障害のある人が指摘しては、それを解消するために改修・改造する「バリアフリー化」の対応を繰り返していました。これには多くの費用と日数がかかります。
自らがポリオで車いすユーザーだったメイスさんは、障害のある人を特別な少数の人として捉えているがために、そもそも「多くの人に不自由な環境や建物を造っては、特別な少数の人たちのために改修を行うという悪循環」や「特別な少数の人たちのためのものの多くは専用品でコストが高くデザインも醜悪である」という問題を日常生活で実感していました。
この気づきから「障害のある人を特別な少数の人と捉えて設計するのがおかしい。障害のある人のためにバリアフリーに設計してあるものは一般の人(障害のない人)にとっても使いやすいものだ。そういうデザインを提供すべきだ」と考えました。
1985年、メイスさんは、はじめてこの考え方を論文としてデザイン誌に寄稿しました。「障害のある人のための」専用のものだった「車いすトイレ」「階段の横に設けられたスロープ」……を共用することでそういったものの恩恵を一般の人(障害のない人)も受けることができる。「すべての人たちにとって魅力的で機能的に」。「ユニバーサルデザイン」という言葉がはじめて生まれました。
平成2(1990)年、米国でADA法(=Americans with Disability Act、障害のあるアメリカ人法)が制定されました。この法律は、障害のある国民の権利を改めて示すばかりでなく、その差別禁止規定も盛り込まれている当時としては画期的な法律で、公共事業から民間企業のサービスや製品開発にまで広く深い影響を及ぼしました。ユニバーサルデザインの考え方は、これにより一気に全米と、さらに「21世紀のデザイン」として世界に紹介され、普及したのです。
メイスさんは、ユニバーサルデザイン研究と実践のため、ノースカロライナ大学にCUD(=Center for Universal Design)を開設し、5年後に「ユニバーサルデザイン7原則」を発表しました。
ユニバーサルデザイン7原則は下記の通り。
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① 公平な実用性 ② 柔軟性 ③ 簡単④ 感覚でわかる情報 ⑤ エラー対応
⑥ 少ない労力 ⑦利用しやすい大きさと空間
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この国にユニバーサルデザインが本格的に紹介されはじめたのは、21世紀に入ってすぐの頃だったと記憶しています。はじめは「共用品」と翻訳され、力の弱い人でも使いやすいふたオープナーや、片手で使えるハサミなど文房具や日常生活用品の紹介という形が多く「これまでよりもおしゃれで汎用もできる自助具」といった印象しかなく、必ずしも「ユニバーサルデザイン」の考え方を伝えるものではありませんでした。
しかしその後、静岡県浜松市の条例にはじまり地方自治体から全国に発信されて行く中で平成17(2005)年、国土交通省が「ユニバーサルデザイン政策大綱」をまとめ、翌年、私たちの「公共観」を大きくシフトさせるきっかけとなる「バリアフリー新法」が制定されることになりました。
バリアフリーとユニバーサルデザインの違いは?という質問はもはやFAQ化していますが、ユニバーサルデザインはバリアフリーの実践で得た気づきを発展させたものと考えれば、違いを定義するのはあまり重要なことではないのかも知れません。ものによっては共用より専用である必要があるものもありますし。
さらに、ユニバーサルデザインを発展させた考え方として、英国のロイヤル・アート・カレッジ教授のジュリア・カセムさんが提唱している「インクルーシブデザイン」があります。これには、ユニバーサルデザインが企画・設計・開発について「ユーザーのニーズを最大限に測るとしている」としているのに対し「ユーザーが企画・設計・開発に参画すること」の重要性が説かれています。なんと魅力的で効果的な!このアイデアはあらゆる事象に応用することができます。学校・教育が生まれ変わる手法として、最も重要で合理的だと思います。
※ロン・メイスさんが1985年、デザイン誌にはじめて寄稿した文章は、とてもわかりやすく、考え方を感じるためにおすすめです。こちらのURLで読むことができます。↓
株式会社ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所)ホームページ
》「ユニバーサルデザインとはみんなのためのバリアフリー環境」
「ユニバーサルデザインの7原則」については、こちらのURLでわかりやすく解説されています。↓
UD資料館JITSUKeN
》「ユニバーサルデザインの7原則」
http://www.ud-web.info/how_7rule
「インクルーシブデザイン」を知るための本も紹介します。
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2569-9.htm
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