p.188 67. 副籍制度

 特別支援学校の小・中学部在籍の児童生徒が、学区(居住地域)の小・中学校に副次的な籍をもち、直接交流(学習活動への参加)や間接交流(学級便りや手紙の交換、地域の情報の提供)を通じて、地域とのつながりの維持・継続を図ろうとする制度で、副籍、副学籍、支援籍などと呼ばれ、自治体単位で実施されています。以前から「居住地交流」と呼ばれる同じような取り組みが、主に養護学校(現・特別支援学校)に籍を置く子どもの保護者と学区の小中学校の協議により私的に行われてきたものが、そのまま制度化したものです。つまり分離教育と共に「すでにあったもの」なのです。これのどこが「インクルーシブ教育システムの構築のために必要不可欠な特別支援教育」なのか。意味が分かりません。


 副籍制度開始から5年を機に、平成26(2014)年、東京都教育委員会がアンケート結果や“うまく運んだ”事例を盛り込んだ「副籍ガイドブック」を堂々と発表しています。そこには何の反省も葛藤も見受けられません。「副籍制度が目指すものは共生地域の実現です」に始まり、空虚で中身のない言葉が、きれいなイラスト・チャート入りでつらつらと綴られています。また、事例を読めば「何を期待していて、何を達成させなければ学習と認めないか」という意図がよく伝わってきます。少なくとも制度になる前は、このような「あるべき結果報告ありき」の干渉を受けることは免れていたのだと思います。

「東京都副籍ガイドブック(東京都教育委員会)」はこちら

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/tokubetsushien/26hukuseki_guide.pdf

0 件のコメント:

コメントを投稿