特殊教育時代と変わったのは名前だけ?と言われた特別支援教育の登場でしたが、注目すべきことのひとつとして「障害があるからといって特別支援学校・学級に就学が決定されるのではなく、就学先決定に際しては保護者の意向を十分に尊重すること」という変化がありました。
これを受けて各市区町村は「就学相談室」を設け就学相談体制を強固にしました。就学相談の主なクライアントは、① わが子が学区の学校・学級に就学するのに不安がある保護者 ② 子どもの転学を望む保護者の……二種類です。
この情報化社会、保護者の意向はここを訪れた時点で決まっているようなものです。当初からそのつもりで設置されたと断言はできませんが、結果、ここはもっぱら「こちらにいい(ふさわしい)学校・学級がありますよ」と「障害児コース」にいざなうための窓口として機能するようになりました。
それまでも就学時健診を待たずに「教育的ニーズがある(とされた)」子どもたちを集めた相談と診察を行う自治体はありましたが「就学相談室」という窓口ができたことで、あらかじめ意向を確認している就学先で就学通知を出すことに相互に確認・合意をするという仕組み、流れが徹底されるようになりました。
「就学相談室」開設以来、療育センターの需要も高まり「特別に用意された別の場所で特別に用意された別のサービスを受ける事は障害のある子が享受すべき権利」という認識の……「仕方なくためらいながら」ではなく「嬉々としてためらいなく」分けられる人が増えてしまいました。余程のことがない限り疑問を持つ隙はまずありません。
②で言えば、(ハルのように)特別支援学校・学級に在籍している子が、学区の小学校の普通のクラスに転学を望む相談もしていいはずです。しかしそれが想定されていないのは相変わらずです。なにしろ相談に乗るのは、療育相談員という「(医療モデルでいう)障害の専門家」、その先にあるのは分断の元凶ともいえる「医療」なのですから。
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