p.163 59. 教育委員会と学校長と保護者の三者面談

 これも「終日保護者の付き添い」と同じくらいおなじみの、障害がある子の保護者が、学区の普通の学級に入学を望んだときに約束させられる事です。

 教育委員会の臨む姿勢は、初年度末は特に「何とかあきらめさせて転学させよう」という目的意識が中心に据えられます。
 トッキーの時もそうでした。ただし学校側は1年間ですでに自信をつけていて、おなじみの療育相談員が「何か、どこか問題があるだろう」としつこく訊ねても、担任の先生は(子ども抜きの時はキッチリ大人の立場で容赦なく率直に話すベテランのかたでしたが)「他の1年生の子と比較して特に大きな問題は思い当たらなかった」「私は特別なことは何もしていない」と応えるばかり。しびれを切らした療育相談員が言った台詞……「先生、トキオくんの発達を一番に考えて、情(じょう)にほだされてはいけませんよ」……には、私とヤマシタだけでなく、その先生も思わず苦笑いしていました。この療育相談員による巡回指導は区立保育園から始まって、小学校三年生の学期末(東日本大震災の直後)、校長先生が「もういいのではありませんか」と提案するまで続きました。


 実際はそうであっても「転学を勧めるのが目的」とはどこにも書いていません。私はこの面談を「どんなにこの環境が素晴らしいか」と賞賛し「なされた配慮と可能になったこと」の報告とお礼、そして「垂直移動の保障(エレベータの設置)が学校運営にとってどんなに必要か」「介助者の給料の一部を支払うことによる家計の窮状」などを伝える絶好の機会として利用しました。

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