p.207 79. 「代理受領」という仕組み

 公的に保障される以上は、障害のある人が支払う必要のある介助料について、障害のある人本人が申請したものを公が仕組みに従って算定し決定すること自体は道理にかなったことだと思います。

 代理受領とは、その介助料支給が障害のある人当人あてではなく事業所あてに行われ、事業所が雇用も派遣も代行すること。つまり、この国で、仕組み上は、障害のある人当人が介助者を選ぶことも雇うこともできないのです。

 算定された介助料が直接、障害のある人当人に支給されることをダイレクトペイメントといいます。ダイレクトペイメントならば、障害のある人が直接介助者を選び契約し雇用出来ます。自律した生活の実現のため介助者を求めるのですから、これが本来の姿です。また単純に考えても事業所が受け取る報酬を考えなくていいことになるのでコスト減の効果もあります。

 一方で、個人契約では過剰労働や給料未払いなど労働問題やその他事務処理上の不正などが起りやすく公に見えにくいという難点もあります。これらの危惧から、本来障害のある人当人が雇用主として行うべきことを、事業所が仕方なく“代行”しているのが“代理”受領という仕組みです。


 事業所は自ら、受領は飽くまで「代行」であって、本来イニシアチブをとるのは障害のある人当人なのだという大前提をもう一度確認し、せめて障害のある人当人に可視化したり、承認を得たりする工夫が必要です。

 例えば、介護事業所の理事会の一定数が障害のある人(利用者)にするという規定をつくるとか。規定を待たずとも実践はできます。それくらいの心意気は欲しいものです。

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